海外展示会への出展は、小間料金やブースの装飾、渡航費、展示品の輸送など、費用も準備の手間も大きくなりがちです。そこで気になるのが「公的な支援で負担を軽くできないか」という点です。本記事では、海外出展に関係する公的支援にどんな種類があるのか、どこで探せばよいのか、見つけたあとに何を確認すべきかを順番に紹介します。制度そのものの説明ではなく、「探し方」と「公式情報へのたどり着き方」に絞った案内です。
本記事は探し方の案内です。制度の内容は変わるため、必ず各機関の公式情報をご確認ください。本記事では、補助率・上限額・締切・対象要件などの具体的な内容は扱いません。
海外出展に関係する公的支援の種類
「公的支援」と一口にいっても、お金の補助だけではありません。まずは大まかな種類を知っておくと、探すときの検索語や問い合わせ先を選びやすくなります。ここで挙げるのは種類の例です。実際にどんな支援があるかは、時期や機関によって異なります。
共同出展(ジャパンパビリオンなど)
公的機関や団体が展示会場の一角をまとめて確保し、複数の日本企業が一緒に出展する形です。「ジャパンパビリオン」などと呼ばれることがあります。単独で出展するより手続きや装飾の負担が軽くなる場合があります。ただし、参加できる展示会や出展者の募集方法は、その都度の公募で決まるのが一般的です。
出展費用の一部を補助する制度
出展にかかる経費の一部を補助・助成する制度がある場合があります。国のほか、都道府県や市区町村、地域の支援機関が独自に設けていることもあります。どの経費が対象になるか、いくら補助されるかは制度ごとに大きく違います。最新の内容は公式サイトで確認してください。
専門家への相談
海外展開や販路開拓について、専門家に無料または低い負担で相談できる窓口が設けられていることがあります。出展の目的づくりや、どの支援を使えそうかの整理に役立ちます。
海外市場の情報提供
国・地域ごとの市場動向、貿易の手続き、展示会に関する情報などを公開している機関があります。出展先を選ぶ段階でも参考になります。
「補助金」だけを探すと、共同出展や相談窓口などの選択肢を見落としがちです。費用・手間・情報のどこで困っているかを先に整理し、それに合う種類の支援を探すと効率的です。
国の機関で探す
海外展開に関する支援は、まず国の機関の公式サイトから探すのが近道です。各サイトの検索窓やお知らせ欄で、「展示会」「見本市」「海外展開」「出展」などの言葉で探してみてください。
JETRO(日本貿易振興機構)
JETRO(ジェトロ)は、日本企業の海外展開を支援する公的機関です。公式サイトでは、海外の市場情報や貿易の基礎知識、展示会・商談会に関するお知らせなどが掲載されています。ジャパンパビリオンのような共同出展の募集が掲載されることもあります。
公式サイト:https://www.jetro.go.jp/
サイト内の「見本市・展示会」に関するページや、イベント・募集のお知らせを定期的に確認すると、募集の見落としを減らせます。各地域の拠点が独自に情報を出している場合もあるため、所在地の拠点の情報もあわせて確認すると安心です。
中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)
中小機構は、中小企業の経営や販路開拓などを幅広く支援する国の機関です。海外展開に関する相談や情報提供を行っている場合があります。
公式サイト:https://www.smrj.go.jp/
J-Net21(中小企業ビジネス支援サイト)
J-Net21は、中小機構が運営する中小企業向けの情報サイトです。国や自治体などの支援情報を探すときの入り口として使えます。地域や分野で絞り込んで探せる場合があるため、「海外」「展示会」などの言葉と組み合わせて検索してみてください。
公式サイト:https://j-net21.smrj.go.jp/
ミラサポplus(中小企業庁)
ミラサポplusは、中小企業庁が運営する中小企業向けの支援情報サイトです。補助金・助成金などの支援制度を探すときに活用できます。掲載されている制度の詳細は、必ずリンク先の各制度の公式ページや公募要領で確認してください。
公式サイト:https://mirasapo-plus.go.jp/
地域の窓口・業界団体で探す
国の制度とは別に、地域ごとに独自の支援が用意されていることがあります。国の機関のサイトに載っていない情報もあるため、地元の窓口もあわせて確認しましょう。
都道府県・市区町村
自治体が、地元企業の海外販路開拓を後押しする制度を設けている場合があります。担当部署は「産業振興」「商工」「経済」などの名前であることが多いようです。探すときは「(お住まいの都道府県名や市区町村名) 海外 展示会 出展 支援」のように、地域の名称と組み合わせて検索してください。
中小企業支援機関・産業振興センター
各地に、中小企業を支援する公的な機関(産業振興センター、産業支援機構などの名称)が置かれていることがあります。自治体の制度の窓口になっている場合もあります。こちらも「(地域の名称) 産業振興センター」などで検索すると見つけやすくなります。
商工会議所・商工会
商工会議所や商工会では、会員企業向けに海外展開の相談や情報提供を行っていることがあります。共同出展の取りまとめをしている場合もあります。所在地の商工会議所・商工会のサイトを「(地域の名称) 商工会議所」などで検索して確認してください。
業界団体
業界団体が、特定の展示会で会員企業向けの共同出展を企画することがあります。業界に特化した海外展示会の情報が集まりやすいのも利点です。自社が加盟している団体、または加盟を検討できる団体のお知らせを確認してみてください。
国・地域・業界団体の情報は、それぞれ別々の場所に載っています。一つのサイトで見つからなくても「支援がない」とは限りません。複数の窓口を並行して確認するのがおすすめです。
探すときのコツと確認すべき項目
使えそうな支援が見つかったら、すぐに申し込む前に公式の公募要領(募集のルールをまとめた資料)を読み込みましょう。ここでは、確認しておきたい観点を紹介します。答えは制度ごとに違うため、必ず公式の資料で確かめてください。
公募時期と出展申込時期のずれ
展示会の出展申込は、会期のかなり前に締め切られることがあります。一方で、支援制度の公募は別のスケジュールで動きます。支援の結果を待ってから出展を申し込むと間に合わない、ということも起こり得ます。出展準備の全体の流れは初めての海外出展スケジュールも参考にしてください。
募集期間が短いことがある
公募の期間が短く設定されることがあります。気になる機関のお知らせを定期的に見る、メールマガジンなどがあれば登録しておく、といった準備をしておくと慌てずに済みます。
申請から採択・支払いまでの流れ
補助金などでは、申請 → 審査・採択 → 事業の実施 → 報告 → 支払い、という流れになることがあります。この場合、費用はいったん自社で立て替える必要が出てきます。どのような流れか、いつ支払われるかは公式の要領で確認しましょう。
対象者・対象経費の要件
企業規模や業種、所在地などで対象者が決まっていることがあります。また、どの費用が対象になるか(小間料金、装飾費、輸送費、渡航費など)も制度によって異なります。自社と予定している支出が当てはまるか、一つずつ確かめてください。
併用の可否・事前着手の可否
同じ経費に複数の支援を重ねて使えるかどうかは、制度ごとに決まっています。また、採択前に契約・発注・支払いをした費用が対象になるかどうかも重要な確認点です。判断に迷う場合は、自己判断せずに制度の問い合わせ窓口に確認しましょう。
- 公募の受付期間と、出展申込の締切の前後関係を確認したか
- 対象となる企業の条件(規模・業種・所在地など)に当てはまるか確認したか
- 予定している費用が対象経費に含まれるか確認したか
- 採択前に契約・支払いをした費用が対象になるか(事前着手の可否)を確認したか
- 他の支援制度と併用できるかを確認したか
- 申請から採択、支払いまでの流れと時期を確認したか
- 費用の立て替えが必要かどうか、資金繰りを確認したか
- 事業後に求められる報告や証拠書類(領収書など)を確認したか
- 確認した情報が最新の公募要領にもとづいているか
申請準備でよく求められる情報
求められる書類は制度によって異なりますが、一般的には次のような情報を整理しておくと準備がスムーズです。公式の様式や記載例がある場合は、必ずそちらに従ってください。
- 事業計画:海外展開の全体像、ターゲットとする国・地域や顧客、今後の進め方など。
- 出展の目的:なぜその展示会なのか、何を得たいのか(商談、代理店探し、市場調査など)。
- 展示会の情報:展示会名、会期、開催地、出展の形態など。
- 費用の見積書:小間料金、装飾、輸送、渡航などの見積。複数社の見積を求められることもあります。
- 会社の基本情報:会社概要、決算に関する書類など。
- 期待する成果と測り方:出展後にどんな成果を確認するか。
とくに「出展の目的」は、申請書だけでなく出展そのものの成功にも直結します。展示会の選び方は海外展示会の選び方、出展後の動き方は展示会後のリードフォローで詳しく紹介しています。
申請のために作る資料は、社内の稟議や出展準備の資料としても使い回せます。「申請のための作業」と考えず、出展計画を固める機会ととらえると負担感が減ります。
専門家に相談する
「どの支援が自社に合うのかわからない」「申請書の書き方が不安」という場合は、公的な相談窓口を活用する方法があります。
たとえば、「よろず支援拠点」のような、中小企業の経営相談に応じる公的な窓口がある場合があります。設置場所や相談できる内容、費用、予約方法は、公式サイトで確認してください。このほか、前の章で紹介した国の機関や、地域の支援機関・商工会議所・商工会でも、海外展開について相談できることがあります。
相談するときは、次の点をまとめておくと話が早く進みます。
- 検討している展示会と会期
- 出展の目的と、ねらう国・地域
- おおよその予算と社内の体制
- すでに調べた支援制度と、わからない点
なお、税務や会計上の扱いなど専門的な判断が必要な点は、税理士などの専門家や公式情報で確認してください。出展の目的設計や予算の組み立て、当日の運営など、出展そのものの準備について相談したい場合は、出展支援のご相談も受け付けています。
まとめ
海外出展に関係する公的支援には、共同出展、費用の一部補助、専門家への相談、市場の情報提供など、いくつかの種類があります。探すときは、JETRO、中小機構・J-Net21、ミラサポplusといった国の機関のサイトに加え、都道府県・市区町村、地域の支援機関、商工会議所・商工会、業界団体もあわせて確認しましょう。
見つけた支援は、公募時期と出展申込時期のずれ、対象者・対象経費、併用や事前着手の可否、支払いまでの流れを、必ず公式の公募要領で確かめてください。制度の内容は変わることがあります。最終的な判断は、常に各機関の最新の公式情報にもとづいて行うようにしましょう。