ドイツは、海外展示会の候補に挙がりやすい国の一つです。当サイトに掲載中のドイツの展示会は、2027年に4つ開かれます。3月のニュルンベルクの embedded world、4月のハノーファーの Hannover Messe、6月のミュンヘンの automatica、9月のベルリンの IFA です。この記事では、4つを会期順に並べ、分野の違い、誰に向くか、ドイツの見本市ならではの準備、2つ以上をはしごする場合の考え方を整理します。数字や条件は、各展示会ページの記載(2026年11月4日確認)にもとづいています。
2027年にドイツで開かれる4つの展示会
まずは会期順に一覧で見てみましょう。
| 会期 | 展示会 | 開催地 | 業種 | 主な数字(主催者の発表) |
|---|---|---|---|---|
| 2027年3月16日(火)〜18日(木) | embedded world 2027 | ドイツ・ニュルンベルク | 半導体・電子部品IT・ソフトウェア・クラウド | 前回の来場者(2026年):35,962人出展者(2026年):1,242社 |
| 2027年4月5日(月)〜8日(木) | Hannover Messe 2027 | ドイツ・ハノーファー | 産業オートメーション・ロボット部品・素材・サプライチェーン | 前回の来場者:約110,000人海外からの来場:約40% |
| 2027年6月22日(火)〜25日(金) | automatica 2027 | ドイツ・ミュンヘン | 産業オートメーション・ロボットIT・ソフトウェア・クラウド | 前回の来場者(2025年):49,284人出展者:798社 |
| 2027年9月3日(金)〜7日(火) | IFA 2027 | ドイツ・ベルリン | コンシューマーテック・家電スタートアップ・イノベーション | 来場者(2026年):240,000人出展者(2026年):2,000社以上 |
4つは、開かれる都市も主催者も別々です。会期は3月から9月に分かれており、春に2つ、初夏に1つ、秋に1つという並びです。
| 会期(2027年) | 展示会 | 都市 | 主催者 | 開催頻度 |
|---|---|---|---|---|
| 3月16日(火)〜18日(木) | embedded world | ニュルンベルク | NürnbergMesse GmbH | 毎年(2027年は25回目) |
| 4月5日(月)〜8日(木) | Hannover Messe | ハノーファー | Deutsche Messe AG | 毎年(4月) |
| 6月22日(火)〜25日(金) | automatica | ミュンヘン | Messe München GmbH | 隔年(2年に1回) |
| 9月3日(金)〜7日(火) | IFA | ベルリン | IFA Management GmbH | 毎年(9月) |
会期の前後にも予定があります。Hannover Messe は前日の4月4日(日)18時から開幕式があります。IFA は会期の直前2日間(9月1日・2日)が報道向けの「Media Days」です。ドイツ以外も含めた2027年の全体像は、2027年の年間カレンダーやドイツの展示会一覧で確認できます。
分野と性格の違いを比べる
4つは同じドイツの見本市でも、扱う分野と来場者の顔ぶれがはっきり違います。各展示会ページの記載をもとに並べると、次のようになります。
| 項目 | embedded world | Hannover Messe | automatica | IFA |
|---|---|---|---|---|
| 分野 | 組込みシステム(半導体、ボード、組込みソフト、開発ツールなど) | 製造業の産業技術全般(自動化、駆動、産業ソフト、エネルギー、部品調達など) | ロボットと工場の自動化 | 家電・コンシューマーテクノロジー |
| 形式 | 専門見本市+国際会議 | 専門見本市(BtoB) | 専門見本市(BtoB) | 総合見本市(BtoB+BtoC) |
| 入場 | 組込み技術の専門家向け。18歳以上 | 製造業の業界関係者が中心。学生向け割引券あり | 入場条件は公式サイトで確認 | 業界関係者と一般の両方。業界関係者は毎日9:30から |
| 前回の来場者 | 35,962人(2026年) | 約110,000人(2026年) | 49,284人(2025年) | 240,000人(2026年) |
| 前回の出展者 | 1,242社(2026年) | 約3,000社(2026年。発表により差あり) | 798社(2025年) | 2,000社以上(2026年) |
| 海外からの来場者 | 44%(2026年) | 約40%(2026年) | 38%(2025年) | 155か国から(2026年。割合は各展示会ページを参照) |
| 併催・関連 | embedded world Conference、electronic displays Conference | NexGeM(金属加工・工作機械)、Europe Energy Week(2027年に新設) | Laser World of Photonics、World of Quantum、munich_i | IFA Next(スタートアップ)、IFA Global Markets(調達向け・別会場) |
数字はいずれも主催者の発表です。automatica は隔年開催のため、前回は2025年の数字です。ほかの3つは2026年の数字なので、年が1年ずれている点に注意してください。また、集計の方法は展示会ごとに異なります。来場者数の大小だけで比べず、「どんな人が来るか」を見る材料として使いましょう。
IFA だけが一般の人も入場できる見本市です。ほかの3つは業界関係者を中心とした BtoB の見本市です。消費者の反応を見たいのか、企業の担当者と商談したいのかで、候補は大きく分かれます。
それぞれ、誰に向くか
embedded world:欧州の機器メーカーに部品・ソフトを届けたい企業
マイコン・半導体、ボード、組込みソフト、開発ツールなど、機器にコンピューターを組み込むための技術に絞った見本市です。主催者の事後報告によると、2026年の来場者の業種は自動車産業・自動車用電子機器が23%で最も多く、電子機器・家電(10%)、産業用制御(8%)と続きます。自動車・産業機器・医療機器などの開発者に、自社の部品やソフトを具体的に見せたい企業に向きます。視察では、エッジAI、組込みビジョン、セキュリティなどの技術動向を確かめる場になります。
Hannover Messe:欧州の製造業の意思決定者に会いたい企業
工場の自動化・ロボット、駆動・油空圧、産業用ソフトウェア、工場のエネルギー、部品・素材の調達、研究開発までを扱います。主催者は自らを「製造業のための世界有数の見本市」と位置づけています。2026年は開幕式にドイツの首相が出席するなど、産業政策の発信の場でもあります。主催者は来場の多い国として日本も挙げており、2026年は JETRO などの日本の公的機関・業界団体も出展しました。欧州の製造業に幅広く接点をつくりたい企業や、産業AI・脱炭素の流れをまとめて見たい視察に向きます。
automatica:ロボット・自動化の販売先や提携先を探す企業
ロボットと工場の自動化に特化した見本市で、2年に1度の開催です。主催者によると、2025年の来場者の83%が意思決定に関わる立場で、半数は従業員199人以下の企業からでした。主催者は2027年の中心テーマを「フィジカルAI」と人型ロボットとしています。欧州の中堅・中小製造業の導入担当者に会いたい企業や、ロボット・ビジョン・ハンドリング機器をまとめて比べたい視察に向きます。
IFA:欧州の小売・消費者に完成品を見せたい企業
テレビ・オーディオから白物家電、スマートホーム、ビューティーテック、モビリティまで、暮らしのテクノロジーを扱います。主催者は「家電・コンシューマーテクノロジーの世界最大のイベント」と紹介しています。欧州の流通・小売との商談と、一般来場者の反応の確認を同じ会場でできるのが特徴です。完成品は本体の展示エリア、スタートアップは IFA Next、部品・受託製造は別会場の IFA Global Markets と、目的によって出る場所を選べます。
製造業の分野ごとに、ドイツ以外の展示会も含めて選び方を整理した記事もあります。製造業の海外展示会 2027 のまとめもあわせてご覧ください。
ドイツの見本市ならではの準備
4つの展示会ページには、共通して出てくる準備のポイントがあります。ここでは各ページに書いてある範囲でまとめます。
英語に加えてドイツ語の資料を用意する
4つのページとも、準備スケジュールの中でパンフレットや資料を英語とドイツ語で用意することを挙げています。Hannover Messe のページでは、ドイツ国内の来場者も多いため、要点だけでもドイツ語の資料があると話が早く進むとしています。前回の来場者のうちドイツ国内からの割合は、embedded world が56%(2026年)、automatica が62%(2025年。海外38%から)です。
小間料のほかにかかる費用を確認する
embedded world と automatica のページには、小間料のほかに必須の費用が載っています。どちらにも、定額のマーケティング・コミュニケーション料や、1㎡あたりの AUMA料・廃棄物処理料があります。また、両方とも小間料にブースの施工・設備は含まれません。embedded world では、自社施工のブースは会期の6週間前までに主催者の審査(Booth+Check)を受ける必要があります。Hannover Messe と IFA の出展料金は、各展示会ページに掲載がありません。主催者の出展案内で確認してください。
申込の期限と料金の切り替わりを押さえる
- embedded world:2027年1月15日までが通常価格です。1月16日からはラストミニット価格に上がります。2026年11月時点で、開催まで約4か月半です。
- Hannover Messe:主催者が2027年の出展者を募集中です。
- automatica:公式な締切はありませんが、主催者の日程表では主出展者の申込締切が2027年5月末ごろとされています。小間の割り当ては申込時期に応じて進みます。
- IFA:公式サイトのフォームで出展の問い合わせを受け付けています。申込締切は2026年11月時点で発表がありません。
宿泊は早めに、入場券の条件も事前に確認
4つのページとも、航空券・ホテルの早めの手配を勧めています。embedded world、Hannover Messe、automatica のページでは、会期中は開催都市の宿泊需要が集中するとしています。入場券の条件も展示会ごとに違います。embedded world の展示会チケットはオンライン販売のみで、会場では買えません。そのかわり、ニュルンベルク周辺の公共交通の乗車券が含まれます。IFA の入場チケットには、ベルリン市内の公共交通の無料乗車は含まれません。automatica は、主催者によるとチケットが同時開催の Laser World of Photonics でも有効です。
- 英語とドイツ語の資料(少なくとも要点)を用意しましたか。
- 小間料以外の必須費用と、施工費が別にかかることを予算に入れましたか。
- 料金が上がる日や申込の締切を、展示会ごとに確認しましたか。
- 宿泊・航空券の手配を早めに始めましたか。
- 入場券の販売方法と、公共交通の扱いを確認しましたか。
- 日本パビリオンや公的機関の募集の有無を、各機関の公式ページで確認しましたか。
2027年の日本パビリオン(日本企業の共同出展)や、日本の公的機関による出展者募集は、4つとも2026年11月時点で確認できる発表がありません。最新の情報は各機関の公式ページで確認してください。
2つ以上をはしごする場合の考え方
同じ年に複数の展示会を回る場合は、会期の間隔と、同じ会場で開かれる併催イベントの両方から考えます。
春の2つ:embedded world と Hannover Messe
embedded world の最終日(3月18日)から Hannover Messe の初日(4月5日)までは、約2週間半あります。1回の出張で続けて回るには間が空くため、2回に分けて渡航するか、担当者を分けるのが現実的です。組込み機器の部品・ソフトを扱いつつ、工場の自動化や産業AIにも関わる企業なら、春の時期に両方を候補にできます。
同じ会場で分野を広げる:automatica と併催の見本市
automatica は、レーザー・光技術の Laser World of Photonics、量子技術の World of Quantum と同じ会期・同じ会場で開かれます。ロボットによるレーザー加工や光センサーによる検査など、自動化と光技術をまとめて見たい場合は、1回の出張で複数の見本市を回れます。Hannover Messe も2027年は、金属加工・工作機械の NexGeM とエネルギー市場の Europe Energy Week が新たに併催されます。
IFA は本体と Global Markets の組み合わせ
IFA は9月で、ほかの3つとは時期が離れています。IFA の中で、本体(9月3日〜7日、メッセ・ベルリン)と、調達向けの IFA Global Markets(9月4日〜6日、STATION Berlin)を組み合わせる考え方が基本です。2つは会場が別なので、移動時間を予定に入れておきましょう。
工作機械の EMO は2027年はミラノ開催
工作機械の国際見本市 EMO は、ハノーファーとミラノの持ち回りです。2027年はミラノ(10月4日〜8日)で、次のハノーファー開催は2029年です。2027年にドイツで工作機械を見るなら、Hannover Messe に併催される NexGeM(25番ホール)が候補になります。
都市の間の移動手段や所要時間は、渡航の計画に合わせて別途確認してください。はしごをするほど、1つの展示会にかけられる時間は短くなります。展示会ごとに「誰に会い、何を持ち帰るか」を先に決め、事前に面談の予約を入れておくと、限られた日数でも成果につながりやすくなります。
ハノーファーとミュンヘンのどちらで自動化を見るか迷う場合は「Hannover Messe と automatica の違い」、家電・コンシューマーテックで IFA と CES を比べる場合は「CES と IFA の違い」をご覧ください。
まとめ
2027年にドイツで開かれる掲載中の展示会は、次の4つです。
- embedded world(3月16日〜18日、ニュルンベルク):組込み技術に絞った専門見本市。欧州の機器メーカーの開発者に会う場。
- Hannover Messe(4月5日〜8日、ハノーファー):製造業の産業技術全般。2027年は4日間に短縮され、事前の面談予約がより大切に。
- automatica(6月22日〜25日、ミュンヘン):ロボットと自動化の専門見本市。2年に1度の開催。
- IFA(9月3日〜7日、ベルリン):家電・コンシューマーテクノロジー。業界関係者と一般の両方が入場可。
どれを選ぶかは、扱う製品の分野と、会いたい相手で決まります。準備では、ドイツ語の資料、小間料以外の費用、料金が切り替わる日、宿泊の早めの手配を押さえましょう。複数を回る場合は、会期の間隔と併催イベントを見て計画を立てます。最新の情報は、各展示会ページと主催者の公式サイトで確認してください。



