製造業・ものづくりの海外展示会は、扱う分野がそれぞれ違います。ロボット・自動化、工作機械、組込み・電子部品、AIハードウェアなど、自社の目的に合う展示会を選ぶことが成果への近道です。この記事では、当サイトに掲載中の展示会のうち、2027年に開かれる製造業向けの5つを中心に、目的別の選び方を整理します。数字や条件は、各展示会ページの記載(2026年11月4日確認)にもとづいています。

2027年の製造業向け 主な海外展示会

まずは会期順に一覧で見てみましょう。

会期展示会開催地業種主な数字(主催者の発表)
2027年3月16日(火)〜18日(木)embedded world 2027ドイツ・ニュルンベルク半導体・電子部品IT・ソフトウェア・クラウド前回の来場者(2026年):35,962人出展者(2026年):1,242社
2027年4月5日(月)〜8日(木)Hannover Messe 2027ドイツ・ハノーファー産業オートメーション・ロボット部品・素材・サプライチェーン前回の来場者:約110,000人海外からの来場:約40%
2027年6月1日(火)〜4日(金)COMPUTEX 2027台湾・台北半導体・電子部品IT・ソフトウェア・クラウド前回の来場者:111,312人来場者の国・地域:152
2027年6月22日(火)〜25日(金)automatica 2027ドイツ・ミュンヘン産業オートメーション・ロボットIT・ソフトウェア・クラウド前回の来場者(2025年):49,284人出展者:798社
2027年10月4日(月)〜8日(金)EMO MILANO 2027イタリア・ミラノ工作機械・加工技術産業オートメーション・ロボット会場の規模:12ホール(約20万㎡)前回ミラノの来場者:6万人超

5つのうち4つが欧州(ドイツ3つ、イタリア1つ)、1つが台湾です。会期は3月から10月に広がっています。同じ「製造業」でも、総合型の Hannover Messe と、ロボット・工作機械・組込み・IT機器などに絞った専門型の見本市があります。開催国ごとの見方は、ドイツの展示会 2027 のまとめで整理しています。この記事では、分野と目的の切り口で見ていきます。

目的から逆引きする早見表

自社が「何を見たいか」「何を売りたいか」から候補を絞ると、比べやすくなります。下は、各展示会ページの分野・テーマの記載をもとにした目安です。

目的第一の候補あわせて検討
ロボット・自動化機器を売る/導入を検討するautomaticaHannover Messe(自動化のホール)、COMPUTEX(AIロボットの展示エリア)
工作機械・工具・測定機を売る/比べるEMO MILANOHannover Messe に併催の NexGeM
半導体・電子部品・組込みソフトを売るembedded worldCOMPUTEX
AIサーバー・冷却・電源などAIハードウェアを見るCOMPUTEXembedded world(エッジAI・組込みビジョン)
生産のデジタル化・工場のエネルギーを見るHannover MesseEMO MILANO(持続可能な生産がテーマ)

どれか一つに決めきれない場合は、扱う製品の分野に加えて「どの地域の、どんな立場の人に会いたいか」で比べます。以下、分野ごとに見ていきます。

自動化・ロボット:automatica と Hannover Messe

ロボット・自動化の分野では、専門型の automatica と、総合型の Hannover Messe が主な候補です。

項目automaticaHannover Messe
会期(2027年)6月22日〜25日(ミュンヘン)4月5日〜8日(ハノーファー)
開催頻度隔年(2年に1回)毎年(4月)
扱う範囲産業用ロボット、サービスロボット、組立・ハンドリング、マシンビジョン、ソフトウェア・クラウド自動化・ロボットに加え、駆動・油空圧、産業ソフト、エネルギー、部品調達、研究開発まで
前回の規模来場者 49,284人・出展者 798社(2025年)来場者 約110,000人・出展者 約3,000社(2026年)
来場者の特徴83%が意思決定に関わる立場、半数が従業員199人以下の企業から(2025年)製造業の意思決定者・技術者が中心、約40%が海外から(2026年)
2027年の注目点主催者は「フィジカルAI」と人型ロボットを中心テーマとしているROBOTICS AWARD 2027(出展していなくても応募可)

数字は主催者の発表で、automatica は2025年、Hannover Messe は2026年の実績です。年が違うため、単純な大小比較には向きません。

automatica は、ロボットと自動化に的を絞った見本市です。前回(2025年)は6つのホールに1,100台を超えるロボットが並びました。主催者の2027年の出展者一覧には、FANUC、YASKAWA、DENSO、Epson、KEYENCE、THK など、日本に本社を置く企業グループの名前も並んでいます(欧州の現地法人名での掲載を含む)。中堅・中小製造業の導入担当者に、導入のしやすさを伝えたい企業に向きます。

Hannover Messe では、自動化とロボットの展示は13・26・27番ホールに集まります(2026年10月時点の会場図)。自動化だけでなく、デジタル化やエネルギーまで一度に見られるのが強みです。自動化を「工場全体の課題」の中で見せたい企業や、視察で全体像をつかみたい場合に向きます。

ポイント

automatica は隔年開催です。2027年を逃すと、次の機会は2年後になります。ロボット・自動化が主力の企業は、まず automatica を軸に検討し、毎年開かれる Hannover Messe を補完として考えると整理しやすくなります。

工作機械・金属加工:EMO MILANO と NexGeM

工作機械の分野の中心は EMO です。EMO は2年に1度、ハノーファーとミラノの持ち回りで開かれます。2027年は、前回のミラノ開催(2021年)から6年ぶりのミラノ開催「EMO MILANO 2027」(10月4日〜8日、fieramilano Rho)です。主催者は会場の12ホールすべてを確保しています。

出展品目は、工作機械、積層造形、その他の機械(溶接・熱処理・表面処理)、工具、部品・構成品、デジタル製造・自動化、測定・品質管理、サービスの8分野です。工作機械メーカーだけでなく、工具・部品・測定機・ソフトの企業も出展の対象になります。

前回のミラノ開催(2021年)は、来場者6万人超(91か国から)、出展者700社超でした。出展者の60%が海外からで、来場者の70%はイタリアからです。来場者の業種は自動車・輸送が31%、産業機械・材料メーカーが29.6%などでした。直前のハノーファー開催(2025年)は来場者約80,000人、出展者1,600社超(45か国から)で、ロボットメーカー約140社が出展しました。開催地によって規模や来場者の構成が違う点に注意してください。

一方、2027年の Hannover Messe には、ドイツ工作機械工業会(VDW)が主催する金属加工・工作機械の見本市「NexGeM」が新たに併催されます(25番ホール)。4月にドイツで工作機械を見たい場合の選択肢になります。

こんな場合候補
イタリア・南欧の自動車・機械・航空宇宙の顧客に会いたいEMO MILANO 2027
工作機械と、自動化・デジタル化・エネルギーを同じ出張で見たいHannover Messe 2027(NexGeM)
ドイツで開かれる EMO を待てる次のハノーファー開催は2029年
注意

EMO MILANO 2027 の出展者一覧、ホール配置、開催時間は、2026年11月1日時点で公表されていません。EMO のページで紹介している日本企業は2025年(ハノーファー開催)の出展者で、2027年の出展を示すものではありません。

組込み・電子部品:embedded world と COMPUTEX

半導体・電子部品・組込みソフトの分野では、欧州の embedded world と台湾の COMPUTEX が候補になります。どちらも業種の主分類は「半導体・電子部品」ですが、会える相手が違います。

項目embedded worldCOMPUTEX
会期(2027年)3月16日〜18日(ニュルンベルク)6月1日〜4日(台北)
前回の規模(2026年)来場者 35,962人・出展者 1,242社来場者 111,312人・出展 約1,500社
出展者の構成1,242社のうち890社がドイツ国外から公式の出展者リストでは台湾の企業・団体が約950件
会える相手欧州の機器メーカーの開発者(来場者の業種は自動車関連23%が最多)台湾を中心とするアジアの電子機器サプライチェーン、海外バイヤー
併設embedded world Conference など(別チケット)スタートアップ展示「InnoVEX」、主催者の1対1の商談会

embedded world は、組込みシステムに絞った専門見本市です。主催者の出展案内資料は、半導体大手や販売代理店を出展企業の例に挙げ、自動車・通信・家電などの企業を来場企業の例に挙げています。部品を「売る側」と「選ぶ側」の両方が集まる場です。自社の部品やソフトが、どの機器のどんな課題を解くのかを具体的に伝えたい企業に向きます。

COMPUTEX は、PC・サーバー、半導体、電子部品、電源・冷却、ネットワークなど、IT機器づくりに関わる企業が集まる見本市です。台湾の ODM・EMS(受託設計・製造)や部品メーカーへの売り込み、調達先・協業先探しに向きます。

欧州の機器メーカーに売りたいなら embedded world、アジアの電子機器サプライチェーンとつながりたいなら COMPUTEX、というのが基本の分け方です。

AIハードウェア:「フィジカルAI」をどこで見るか

2027年は、複数の展示会の主催者が「フィジカルAI」(AIを搭載して現実世界で動くロボットなど)を焦点に挙げています。AIハードウェアをどこで見るかは、関心の範囲で変わります。

ポイント

「AIハードウェア」は範囲が広い言葉です。部品・計算基盤を扱うのか、ロボットなどの完成機器を扱うのか、工場での使い方を見たいのかを先に決めると、展示会を絞り込みやすくなります。

年間のスケジュールと申込のタイミング

5つの会期を並べると、3月の embedded world、4月の Hannover Messe、6月上旬の COMPUTEX、6月下旬の automatica、10月の EMO MILANO の順です。COMPUTEX の最終日(6月4日)から automatica の初日(6月22日)までは約2週間半あります。台北とミュンヘンの両方を回る場合は、2回に分けて渡航するか、担当者を分ける計画になります。

出展の申込は、2026年11月の時点で状況が展示会ごとに違います。

展示会申込の状況(各展示会ページの記載)
embedded world2027年1月15日までが通常価格。1月16日からラストミニット価格
Hannover Messe主催者が出展者を募集中。料金は主催者の出展案内で確認
COMPUTEX海外企業向けのオンライン申込は2026年10月31日に締切(満枠の場合はキャンセル待ち)。11月以降の受付状況は公式の申込サイトで確認。InnoVEX の早期申込は2026年12月31日まで
automatica公式な締切はないが、主催者の日程表では主出展者の申込締切が2027年5月末ごろ。小間の割り当ては申込時期に応じて進む
EMO MILANO2026年10月19日に申込受付を開始。早期割引は2027年1月15日まで

工作機械やロボットなど、大きな機械を動かして見せる展示会では、輸送・通関・設営に時間がかかります。Hannover Messe、embedded world、automatica、EMO の各ページは、輸送会社・施工会社と早めに契約することを勧めています。ドイツで開かれる3つの準備のポイントは、ドイツの展示会 2027 のまとめでも紹介しています。

チェックリスト
  • 自社の製品・関心が、どの分野の展示会に当てはまるか決めましたか。
  • 会いたい相手の地域(欧州・アジア)と立場を決めましたか。
  • 前回の数字を比べるとき、開催年の違いを確認しましたか。
  • 料金が上がる日や申込の締切を、展示会ごとに確認しましたか。
  • 大型の展示品の輸送・施工の段取りを早めに始めましたか。
あわせて読みたい

産業総合の Hannover Messe と、ロボット・自動化に特化した automatica の違いは「Hannover Messe と automatica の違い」で詳しく比べています。

まとめ

製造業の海外展示会は、目的によって選ぶ場所が変わります。

  1. ロボット・自動化:隔年開催の automatica(6月、ミュンヘン)が軸。工場全体の課題とあわせて見せるなら Hannover Messe(4月、ハノーファー)。
  2. 工作機械・金属加工:6年ぶりのミラノ開催となる EMO MILANO(10月)。4月の Hannover Messe に併催の NexGeM も候補。
  3. 組込み・電子部品:欧州の機器メーカーなら embedded world(3月、ニュルンベルク)、アジアのサプライチェーンなら COMPUTEX(6月、台北)。
  4. AIハードウェア:計算基盤は COMPUTEX、ロボットに載るAIは COMPUTEX と automatica、機器に組み込むAIは embedded world、工場のAIは Hannover Messe。

数字は開催年が展示会ごとに違うため、来場者数の大小だけで判断せず、会いたい相手が集まるかで比べましょう。最新の情報は、各展示会ページと主催者の公式サイトで確認してください。

目的設計や展示会選び、出展・視察の準備を進めるのが難しい場合は、出展支援や視察プログラムについて私たちにご相談ください。